気難しい売れっ子作家の契約妻になりました 〜私にだけは、心を開いているそうですが……?〜
『今日は仕事中に失礼なことを言ってしまってすみませんでした。でも、先生の作品が本当に大好きで、お会いできたことが嬉しくて……』
(えいっ)
心の中で勢いをつけて、送信する。まさか、返信が来るなんて思わなかった。先生は忙しい人だから。
先生の漫画の話をすることが多いけれど、いつしか私のことも聞かれて、話すようになっていた。漫画家さんのように、絵が上手くて、話も考えられる天才肌の人にとって、私の話は面白いのかな、なんて思いながら返信をして今に至る。
『今日は編集部へ行ったから、人に会って疲れた』
冬田さんから来たメッセージだ。
冬田さんと数年やりとりをして気付いたのは、冬田さんがあまり人と関わりたくない人ということ。それなら、私は……?と思ったのだが、ただの集荷をする人だから、人間として考えていないのかな、と思う。
冬田さんは、これまで私が関わったことのない人で、メッセージも面白くてつい「ふふっ」と笑みを零してしまう。
ここは、昼間とは違う私の“もう一つの職場”の休憩室だというのに。
「なになに、どうしたの~」
スマホを見ていたら急に笑い出した私は、ただの不審者である。
休憩室の椅子に腰かけていたバイト仲間の優が尋ねる。