気難しい売れっ子作家の契約妻になりました 〜私にだけは、心を開いているそうですが……?〜
二章 もうひとつの顔
今日の冬田さんの集荷も問題はなかった。さて、冬田さんの集荷を毎週担当するようになってから、私と冬田さんには関係の変化がある。
ブブッとスマホが振動して画面を見ると、新着メッセージが一件と表記されている。そして、その下には『冬田涼太』とある。
冬田さんと連絡を取り合うようになったのだ。連絡を取り合うようになったのは、初めて集荷に行った日のこと。原稿を預かって帰ろうとすると、先生に呼び止められた。
「俺、原稿を預ける人は限ってるんだよね。多分、これからはお姉さんに来てもらうと思うから、電話番号教えてくれない?」
そう言われたのだ。先生の大事な原稿を預かる以上、何かあった時にすぐ連絡できる方がいい……!
その一心で連絡先を交換して、わー、好きな作家さんのお仕事に関われるって嬉しいなぁ、と楽観的なことを考えていた。
しかし、家に帰る道中、それにしては失礼なこと言わなかったか?と脳内で一人の反省会が行われた。
(連載が決まった時に、やっぱり!って思いましたって……偉そうじゃない……!?)
一度考え始めると、あれもこれも失礼だったのではないかとぐるぐると頭の中を巡り、いてもたってもいられなくなり、先生に電話番号からメッセージの送信をしたのだ。