気難しい売れっ子作家の契約妻になりました 〜私にだけは、心を開いているそうですが……?〜
一章 気難しい(?)作家先生
午前七時五十分。
寺川通便は、「早い」「安い」「誠実」を売りにする運送会社だ。
私、夏川陽奈の勤務先である。
私が所属しているのは、集配部といって、お客様へ荷物を届けたり、お客様の荷物を預かる仕事だ。ちなみに、私がいる支社では日によって配達する日と集荷する日が決まっている。
「おはようございまーす……今日は三コースか。あっ、先生の所へ行くからか」
三階の更衣室で着替え終わると、二階の事務所へ向かって、タイムカードで打刻する。事務所には、内務者が常駐しており挨拶をすれば、『集配部』と天井から吊るされている仕切り板のデスクへ向かう。
集配部は、外務のため事務所にいる時間が少ない。そのため、書類の入ったロッカーと折りたたみ式の机と椅子が数個壁に立てかけられているだけの簡易的な場所を割り当てられている。
集荷先や配達先の個人情報の書類が入っているロッカーには、作業割り当て表と呼ばれる集配部の長が作ったその日のシフトが貼ってあり、朝一番でこれを確認する。
まぁ、今日は水曜日だから私の業務は決まっている。
集配部に所属していれば、知らない者はいないクセがあると言われるお客様ーー冬田涼太の集荷がある日だからだ。