運命? いいえ、私が恋を狩る

第3話 離されたふたり

◆

 ランリンが追いかけていた泥棒を、リーヨウが捕まえた。――それが、ふたりが知り合ったきっかけだった。

 泥棒を捕吏《ほり》※に引き渡したあと、ランリンはリーヨウへお礼と自己紹介をした。 [※犯罪者をつかまえる役人]

「ところで、スーお嬢さんの手は大丈夫?あんなに殴ってたけど」

「私、頑丈なの」

「なら良かった」

 ランリンは少し驚いた。
 助けたことを恩に着せないし、泥棒を殴ったことに説教しない。そんなリーヨウが、ランリンには新鮮だった。

「――ウェイ殿は、この辺では見かけないですね」

「最近都に来たんだ、母さんと一緒に」

「あら……奥様とじゃなくて?」

「いや、まだいないよ」
 リーヨウははにかんだ。

 ランリンは話しながら、じっくりとリーヨウを眺めていた。

 長い黒髪をひとつにまとめ、髷《まげ》を結った男。背が高く、肩幅も広い。整った顔立ちに、太い眉。笑うと、驚くほど人懐っこかった。

 ランリンの目が、すっと細くなった。
(見つけた)
「お礼にご飯をご馳走するわ」

「え?」

「今夜、空いてる?」

 協力へのお礼という口実で、ランリンは瞬時にリーヨウに狙いを定めたのだ。
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