愛なんて要らないはずでした~逃げるために嫁いだのに、心まで奪われています~
 再び父と顔を合わせ、食事を取り、この四年間で行った業務を説明する。
 元々商才のあった父の血を引いているお陰と、使用人たちのお陰で問題なく回っていたが、流石に発展までさせることはできなかったので、これからは父の側で仕事を学び、ふたりになってしまったが、また温かい家族との生活を取り戻すのだとそう浮かれていた。

 だから私は気付かなかったのだ。
 父が私を見るその瞳が仄暗さを孕み、父が呼ぶ「キーラ」という名前に「リアナ」が混ざる瞬間があるということに。

 父娘としては近すぎる距離だったが、十二から顔を合わせなかったのだ、子供の時代を取り戻そうとしているのだとそう思った。いや、そう思い込みたかったのかもしれない。
 父は十六歳になった私をまるで十二歳の少女にするように膝へと乗せたがった。
 流石にそれは恥ずかしいから、と断れば「相変わらず恥ずかしがり屋なのだな」なんて納得し、笑みを浮かべる。

 ──私は、父の膝にいつ乗り、恥ずかしがったのだろうか。
 母が亡くなる以前は乗せて貰ったことはある。だが、十二歳未満の子供だ、恥ずかしいなんてことはなく、安心できる場所だったはず。
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