愛なんて要らないはずでした~逃げるために嫁いだのに、心まで奪われています~
 母と間違えているのかも、母の代わりにされそうなのかも何もわからなかった。だが、婚約もしていない十八歳の私には何もできなかった。誰かに頼りたくとも今まで家を維持することに精一杯で、私は社交界にデビューもしていなかったのだ。伝手がない。当主が健在の子爵家で、社交界デビューもしていない小娘が勝手に逃げ出す場所として嫁ぐ先なんて見つけられるはずもなかった。
 だが、父とふたりではいられない。そして今回のことは、お酒のせいだとも考えた。

 だから私は、酒が抜けたあとの父に娘として、母にそっくりな笑顔でおねだりをしたのだ。

「母と姉妹が欲しい」と。

 この作戦はうまくいき、お金のある子爵家ということですぐに後妻は見つかった。私の希望通り、娘のいる未亡人で、その日から家族は継母と義妹を含んだ四人家族になった。

 初めて新しい家族で食卓を囲んだ日のことは忘れない。
 
 家族と、そして家族の目が増えたことで父が落ち着いてくれることを祈りながら、その日の執務を終えてからダイニングルームへと向かった。
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