きみと、どうかしてる。

「これはあの、なんていうか、」

「うん?」

「……しょ、しょーもないね…?」

「それは谷村さん専用だから、どのページでも好きに見ていいよ」

「えっ!このノート、あたしのことしか書いてないの?」

「私、あんまり記憶力良くなくて。忘れてしまっても大丈夫なようにね」

「ふーん…」

「怖いと思った?」

「怖い?」

「そのノート。」

立ち止まって、試すような目であたしを見る彼女に対して。

どうしてかは分からないけど、直感的に。
この質問には、適当に答えちゃダメだって悟った。

「物好きだなぁ、って思った」

「なるほど。谷村さんって、本当は変な人なんだね。普通の人だったらドン引くところだよ?」

「そうなの?」

「そうなの。」

そういえばこんなこと言ったかもなー、なんて。アルバムを見返す感覚でパラパラと見ていたら、急にノートをふんだくられた。

「えっ。なに?」

「あ、ごめん。今のも書いておかないといけないから」

「そっ、そっか。そうだね…?」

森下さんはその後、"ノートを怖がらない。変わったいい人"と付け加えたけど。

あたしが思うに、森下さんも相当変わってると思う。

"類は友を呼ぶ"ってあのことわざは、案外本当のことなのかもしれない。

…って、いやいや。違う違う。
森下さんとはまだ、 友達ではないんだから。


学校で人と話すことが当たり前になるなんて、まさかこのあたしが!?って、信じられないことだけど。

例えば明日、日常になりつつあるこの時間がなくなってしまったら、あたしはどう感じるのかな。

実際にその時が来ないと正解は分からないけど、今の時点で"せいせいする"と言い切れないということは。

一人でいることが当たり前だったあの頃には、戻れないところまで。

……戻りたくないと思ってしまっているあたしは、きっともう侵食されている。

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