きみと、どうかしてる。
「谷村さん、一緒に帰ろう」
終礼の合図と同時に現れた森下さんは。
なんだか、いつもより気迫に満ちているような……?
「そろそろ学校外の谷村さんのことも知りたいと思ってるんだけど」
「へ?」
「今日はこの後どうするの?何か予定ある?」
「………」
予定というほどではないけど、ちょっとだけ買い物に行こうと思っていた。冷蔵庫の中が空っぽだから。
でも、食材なんて買いに行ったら、もし家に入り込まれたら。一人暮らししてることがバレてしまう。
…ということは、また追及されるであろう話題が増えるということ。それは避けたい。
「いやあの、えっと、今日は、すぐ帰らないといけなくて、」
「わかった。なら帰ろう、送っていくよ」
「………」
「ね?」
森下さんはすべて分かった上で、そんな微塵も思ってもないことを言ったんだと思う。
本当はこの後に何かあると、分かった上で。
"用事があるから、また今度ね"
そう切り出すにはもう、手遅れだと分かってるけど。ここから逃げ出す術が思いつかなくて。
「………」
「………」
じりじりと距離を詰めてくる彼女との間に、無言の時間が流れる。
最近の無遠慮さから察するに、引き下がってくれることはないんだろうな。
……だったら、強行突破するしかないよね。