きみと、どうかしてる。
「さよならっ!」
「あっ、逃がさないよ!」
全力で走るあたしの後ろを笑顔で追いかけてくる森下さんは、
「真紀~今日は鬼ごっこしてるの?」
「うん、またね!」
すれ違う人と普通に会話出来てるんだけど。なんで?あたしはこんなに必死なのに…
もし逃げ切れなくても、撒くことなら出来るかもと。近くのデパートまで全力疾走してきた。
………って、言いたかったけど。
現実は半分以上歩いてしまった。無念。
だって、ずっと走り続けられるわけないよ。だいぶ距離あるんだから。
走り続けられるはず、ないのに。
「谷村さんの家ってこっちだっけ?
おかしいなぁ。私のリサーチでは…」
なんて、涼しい顔で話しかけてくる森下さん。
鈍足のあたしが何をしようが、絶対に逃がさない自信があるんだろう。
この小さな体のどこに体力が隠されてるんだろう。実は体育会系なの?
めっきり寒くなってきたこの時期に、どうして汗をかかなきゃいけないんだろう。
そうは思うけど、この足を止めるわけにはいかない。
「あっ、まだ走るの?
そろそろ観念しなよ~」
"まだ"って言葉に引っかかりを覚えて振り返ると、
「涼しいから、走るの気持ちいいね」
「………」
「このまま家まで走る?私はそれでもいいよ~」
……これはもう、恐怖映像ですね。