きみと、どうかしてる。
お店に着いてすぐ個室に放り込んで、たちまち出て行ってしまった千尋を追いかける。
「待って!」
「受付しとくから。好きに歌ってていーよ」
「そうじゃなくて!
ねぇ、一体どういうつもり?」
亜美子さんはお怒りですよって、この気持ちに気付いてもらおうと、腕組みして睨み付けたけど。
全く効果はないようで、表情が変わらないどころか、威嚇するように見下ろしてくる。
「お前こそどうなってんの。
観察ってなに。なにやらかしたんだよ」
「何もしてないよ!つきまとわれてるだけ!」
「つきまとわれてるって…友達だろ?」
「友達じゃない」
「はぁ?」
「友達じゃないの!」
同じ制服を着て、お互いに名前を知っていて、追いかけっこまでしていたのに、友達じゃなくて。
"観察"されているこの状況は、確かに千尋から見れば意味わかんないだろうけど。
あたしだって、ここで引き下がるわけにはいかない。
また二人が揃ってしまうまでに、一秒でも早くここから逃げないといけないのに、
「とにかく、話はあとで聞く」
「あっ、」
「勝手に帰んなよ」
バイト中だから当たり前だけど、いつもと違ってあたしを優先してくれる気はないらしく。
「今じゃないとだめだって!」
「それはこっちも同じ」
「同じとか、」
「分かったから。あとでな」
背中側のドアを無理やり開けて、中に押し込まれて。なす術が無くなった。