きみと、どうかしてる。

お店に着いてすぐ個室に放り込んで、たちまち出て行ってしまった千尋を追いかける。

「待って!」

「受付しとくから。好きに歌ってていーよ」

「そうじゃなくて!
ねぇ、一体どういうつもり?」

亜美子さんはお怒りですよって、この気持ちに気付いてもらおうと、腕組みして睨み付けたけど。

全く効果はないようで、表情が変わらないどころか、威嚇するように見下ろしてくる。

「お前こそどうなってんの。
観察ってなに。なにやらかしたんだよ」

「何もしてないよ!つきまとわれてるだけ!」

「つきまとわれてるって…友達だろ?」

「友達じゃない」

「はぁ?」

「友達じゃないの!」

同じ制服を着て、お互いに名前を知っていて、追いかけっこまでしていたのに、友達じゃなくて。

"観察"されているこの状況は、確かに千尋から見れば意味わかんないだろうけど。

あたしだって、ここで引き下がるわけにはいかない。

また二人が揃ってしまうまでに、一秒でも早くここから逃げないといけないのに、

「とにかく、話はあとで聞く」

「あっ、」

「勝手に帰んなよ」

バイト中だから当たり前だけど、いつもと違ってあたしを優先してくれる気はないらしく。

「今じゃないとだめだって!」

「それはこっちも同じ」

「同じとか、」
「分かったから。あとでな」

背中側のドアを無理やり開けて、中に押し込まれて。なす術が無くなった。

< 42 / 51 >

この作品をシェア

pagetop