きみと、どうかしてる。

「じゃあ、質問変えるね。
家では何してることが多い?」

「…読書とか?」

「ほう。例えばどういった系統の本を?」

「図書館で目についたものを読んでるだけだから……あ、でも。ミステリー小説は割と好き」

「ふんふん、なるほどねー」

会話している時間の半分以上は、ノートとにらめっこしている森下さん。

質問するときは、いつも真剣な表情をしているのに、自分のことを話すときは表情豊かなこととか。

さすがに覚えてしまったというか、見慣れてきたなぁ。

そんな風に考えて、ふと気付く。

最初は嫌で嫌で仕方なかった森下さんに対して、少なからず興味を持ってしまっている自分がいることに。


「ねぇ」

「なに?」

「何か歌って!」

初めて来たから勝手が分からないけど、ここが歌いに来る場所だってことぐらいは知ってる。

いつもあたしばっかり質問攻めにされてるし、たまにはこういうのもアリなんじゃない?

「森下さんはカラオケよく来る?」

「うん。来るよ!タンバリンとかマラカスとか使って、とにかく騒いでる」

そう言って席を立ったから、てっきり音の鳴る道具を持ってくるのかと思いきや。

テレビの下に置かれた小さな機械を手に取って戻ってきた森下さんの手元を、興味深く見つめる。

あたしが歌えるのは、合唱曲か童謡ぐらいしかないけど。

もしかしたら、今後触る機会があるかもしれないし。ちゃんと見て覚えておこう。

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