きみと、どうかしてる。
ここまでずっと黙っていた二人だけど、先に反応を示してくれたのは。
「谷村さん…いや、亜美子ちゃん。
やっぱり、私と友達になろう!」
その場で立ち上がって、右手を差し出してきたのは森下さん。
「え?あたしの話聞いてた?」
「聞いてたよ。書き留める必要ないくらい脳に刻み込んだ!」
「………」
「そんな言いつけ、人権侵害だよ!」
「でも別に、」
「そうだよね、今更いらなくない?って思ってるよね。でもそれって洗脳じゃない?」
「洗脳ってそんな、大袈裟な…」
「大袈裟じゃないよ。だって今のままじゃ、亜美子ちゃんの人生が台無しになる」
「………」
「私といたこの一ヶ月どうだった?鬱陶しいだけだった?できるならもう顔も見たくない?」
「………」
「お喋りして、カラオケ行って…
全く楽しくなかった?帰りたくて仕方なかった??」
「いや、その……」
友達なんていらないって思いは、今も変わってないけど。
……その質問には、とてもじゃないけどノーとは言えない。
「全部嫌だったって言うなら引き下がる。もう付きまとわない。
でもそうじゃないなら、絶対後悔させないって約束するから。友達になろう!」
千尋と話していた時とは別の涙を流しながら、あたしなんかのために、こんなに真剣になってくれて。
異常だってことが分かってもなお、優しい言葉をかけてくれる森下さんの手を。
「わ、わかった…」
握らない選択肢は、選べなかった。