きみと、どうかしてる。

「千尋、今なんて言った?」

「"意外な一面見れた"?」

「ちがう」

「……"可愛いとこあるんだな"」

あ、空耳じゃなかった。
めちゃくちゃ現実だった。

"可愛い"なんて。絶対思ってないくせに。
絶対絶対、からかいたいだけだもん。そんな顔してたし。

……うん、だから。

真に受けて喜んじゃだめだよ、あたし。

「ばっ、ばかにしてー!
生意気ちぃたんとは違って、あたしはいつでも可愛いもん!オールウェイズキュートガールだし!」

「あー、はいはい。そうですね」

拗ねモードに突入したあたしを適当にあしらう言葉を吐きながら、静かに車を発進させる。

「言っとくけど、人と触れ合いなれてないからだから!まだ社交レベル1だから!千尋だからとかじゃないからね!?」

「つーことは、照れてたのは当たってたんだ?」

「あぁあああ!違う!違うの、だから、」

「俺だからってわけじゃないのは分かったから。早くシートベルト」

「あ、はい…」

……そこは、すぐ分かってくれなくても良かったんだけど。

< 62 / 69 >

この作品をシェア

pagetop