婚約者の溺愛が重すぎて、普通の恋ができません!
「そうだよね、一人で暮らしたいってずっと思ってたもんね?」
「あんたのせいでね!」
「え? ……なんで?」
キョトン、と言った感じで、京志郎は首をかしげる。その動作がやけに癪に障る。
「あんたが、今まで私に何してきたかわかってんの!?」
私がさらにギリギリと胸ぐらを締め上げても、京志郎は苦しそうな顔ひとつせず、本気で質問の意味がわからないらしく首を傾げていた。
「ずっと守ってきたじゃないか」
「守ってなんていらない! 私は一人で大丈夫なの! しかも守るってなによ。同級生の男の子と話してたら、その男の子を後で呼び出して威圧すること? それとも、高校の担任の先生が男だったら威圧したうえで、地方に飛ばすこと!? 私どれも許してないから!」
「威圧なんてしてないよ」
「したでしょうが!」
「少し話をしただけだよ。先生の異動だって、本人のキャリアを考えれば悪い話じゃなかったと思うけど」
いい先生だったのに……と、今でも時々思い出すくらいには慕っていた担任だった。
そんな先生に突然降ってわいた不自然な異動にこいつが噛んでいることくらい、当時高校生だった私にだってすぐにわかった。