海色の恋〜冷徹社長の甘い愛に染められて〜
翌日、ふわりとパーマのかかったミディアムヘア。前髪は軽くかき上げておでこが見えるように。淡いピンクのブラウスにジャケットを羽織り、細身のパンツとヒールを合わせて、職場へ向かった。

「おはようございます、七海さん」

「おはよう、佐々木くん」

フロアに入ると、佐々木進(ささき・すすむ)がこちらを見て声をかけてくる。私より一つ年下の後輩で、明るく真面目な好青年だ。

「七海さん、これ。新作のデザインが上がってきてましたよ。ルイさんから」

「ありがとうございます」

受け取った資料を手に自分のデスクへ向かう。さっそく中を開くと、今回企画しているアクアリウムコスメのフェイスパウダーのデザインが目に飛び込んできた。ターゲットは、仕事もプライベートも頑張る愛される女性。持ち歩いているだけで気分が上がるような、可愛らしくて、きらめきのあるパッケージを目指している。そのデザインをお願いしたのが、ルイさんだった。
業界では有名なデザイナーだけれど、私たちはその人についてほとんど何も知らない。
年齢も、本名も。男性なのか女性なのかさえ、わからない。やり取りは、いつもメールだけだ。それなのに、ルイさんから上がってくるデザインは、いつも私たちの想像を軽々と超えてくる。

デザインを確認すると淡い水色のケースに、赤や黄色、紫、ピンク。カラフルなビジューが散りばめられ、光を受けるたびに宝石のようにきらめきそうだ。その中央には、一匹のピンク色のエンゼルフィッシュ。可愛らしいのに甘すぎず、まるで水の中を優雅に泳いでいるような躍動感がある。

「さすがルイさんですね」

佐々木くんが呟くと、いつの間にか私のデスクの周りに集まっていた同僚たちからも声が上がった。

「ほんと、いつも素敵!」
「今回もめちゃくちゃ可愛い!」
「この水色、いいね。大人っぽいのに華やか」

みんなが口々に感想を言いながら、デザインを覗き込む。私はもう一度、中央に描かれたエンゼルフィッシュを見つめた。
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