海色の恋〜冷徹社長の甘い愛に染められて〜
「なんだか不思議な気分です。少し照れくさいですね」

そう言って笑った私を時透社長が真っ直ぐに見つめた。その瞳はどこか迷うような、それでいて決意を秘めたような眼差しだった。私から視線を逸らさない。そして小さく息を吐く。

「好きだと言ったら…困るか?」

頭が真っ白になる。何を言われたのか、理解するまでに時間がかかる。そんな私をよそに、時透社長はゆっくりと距離を詰めてきた。そして、私の髪を一房すくい上げる。指先に絡めるようにしながら、まっすぐ私を見つめた。

「君が欲しいと言ったら…迷惑か?」

「い、いや…あの…」

近い。近すぎる。どうしてこの人は、こんなに真面目な顔で、とんでもないことを言えるのだろう。

「君の大切な人のことは、忘れる必要なんてない」

時透社長の声は、どこまでも穏やかだった。

「その人がいたからこそ、今の君がいる。君の人生の糧となった人を、忘れろなんて言わない」

胸の奥が、じんと熱くなる。なんでそんな嬉しいことを言ってくれるのだろう。

「だけど…欲張りを言うなら」

一瞬だけ言葉を止めて私を見る。

「俺も、君の人生の一部になりたい」

「…っ」

頬がかあっと熱くなった。心臓が脈打つように速くなる。

「わ、私…」

声が震える。それでも、伝えなきゃいけないと思った。

「付き合う人は、死ぬまで好きでいられるかどうかで決めてるんです」

思わず大きな声が出た。恋愛はかなりご無沙汰だ。遠ざかっていたのは、勉強や仕事、他に夢中になれるものがあったから。それでも、もし誰かと人生を共にするのなら、一生大切にしたいと思える人がいい。

「それでも…いいですか?」

大抵、これを言うとみんな引いていく。「それはちょっと重いかな」って。私のことを好きだと言ってくれた人でさえ、そうだった。だから、きっと今回も――。そう思ったのに。目の前の時透社長は、なぜか嬉しそうに笑った。
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