加納欄の冤罪シリーズ33シーズン4
動いちゃダメ。

あたしはスマホを見たまま、じっとしていた。

最初は、手の甲が軽くお尻に当たっただけだった。

やっぱり勘違い?

電車が揺れたせいかもしれない。

そう思っていると、すっと離れる。

……偶然?

次の瞬間、また同じ場所に手が触れた。

今度は手のひらだった。

触れたまま、電車が揺れても離れない。

……これ、絶対わざとだ!

さらに指が動いた。

ちょっと待って!

分かってた。

今日はそのために来たんだから、分かってたけど……。

これ、思ってたよりムカつく!

振り向きたい。

この手を掴んで、そのまま――

ダメ!

吉井さんの二の舞になるかもしれない。

それに、あたしは今日、刑事じゃない。

被害者役なんだ。

大山先輩にいつも言われている、しおらしい女の子なんだ。

やがて手が離れたと思ったら、今度は腰へ移ってきた。

――小山内さんが話してたのと、同じだ。

あたしはゆっくり右手を上げ、右耳のピアスに触れた。
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