加納欄の冤罪シリーズ33シーズン4
小山内さんは、あたしたちの前まで来ると足を止めた。

そして、吉井さんを見る。

「……あの」

吉井さんは黙って待った。

小山内さんの手が、ぎゅっと鞄を握る。

「本当に、すみませんでした」

深く頭を下げた。

「私……吉井さんが犯人だと思い込んで……」

「小山内さん」

吉井さんが静かに呼ぶ。

「顔、上げてください」

小山内さんが、ゆっくり顔を上げる。

「確かに、俺は犯人じゃなかった」

「……はい」

「でも、あなたが痴漢に遭ったことまで間違いだったわけじゃない。今までよく頑張ってきたね」

小山内さんの目に、涙が浮かんだ。

「怖かったですよね」

あたしも話に入る。

「囮をして、初めて怖いという体験をしました。これからもなにかあったら、訪ねてきてください。今度は、本当の犯人を捕まえられましたから」

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