葉山くんは私の前でだけ忠犬
喧嘩をした葉山くんは生活指導の先生の元へ連れていかれ、私はなんとなく……指導室の前で葉山くんを待っていた。


唇の端、切れてたな……。

葉山くん、喧嘩強いからあんまり怪我することってないけど、今日は大勢いたから……。

でも……私がずっとそばにいたら。
目を離さなければ、ほんとに喧嘩しないのかな?


「はぁーい、これからは気をつけまーす」


全然反省してない間延びした声が聞こえ、指導室から葉山くんが出てくる。

相変わらず背中は丸まり、上履きのかかとも踏んづけてる。


「葉山くん……!」
「千代〜……ちゃんとせんせーの話聞いてきた、褒めて褒めてぇ」


根本が少しだけ黒くなっている白髪頭を差し出すように身をかがめ、頭を撫でるよう要求してくる姿は、さっきまで人を殴っていたとは思えない。
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