アネモネの花
『まぁ、今はサッカーだけだけど?』


あれ……心の中、読まないでよ。


紘人は、後に続く私の心も読んだかのようにして鼻で笑うと、さらに言葉を続けた。


『仮にさ、例えば……
誰かにライブへ行けって言われても行かない。時間、勿体ねーじゃん?
…そんな時間あるならサッカーしたいし』


やっぱり、紘人=サッカーだ。

結局、最後にはサッカーの話になってしまった。




『昔さ、』

「なに?」


受話器の向こう側の空気が、少し変わった気がした。
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