アネモネの花
すぐに、ごまかして他の話題を振れば、紘人はきっとその話にそのまま乗ってきたと思う。

だけど、私はそれをしなかった。

――違う…、出来なかったんだ。


だって…
その答えを聞きたいと思ってしまう自分がいたから。




『あー。うん』


間が…言葉と言葉の間が嫌だった。

聞きたいという気持ちと、聞きなくないという気持ち。


そして、
聞いてはいけないという気持ち…。


いろんな気持ちがぶつかって、その先の言葉を聞くのが怖くてしょうがなかった。
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