アネモネの花
それでも、しぶしぶ承諾して、紘人のところへ向かう私がいる。


なんでなんだろう…。
本当は紘人と話したいと思ってる自分も存在してるんだろうか。




「あっ、私も行く!」


そんな時、私の後を追いかけてきたのは…同じチームの悠(ハルカ)


みんなには、漢字のごとく“ユウ”とか“ユウちゃん”って呼ばれてる。

本当の名前で呼ぶ人は、あまりいないらしい。



おもしろ半分で付いて来たんだろうけど、今の私にとって悠の行動は、かなりありがたかった。

紘人と二人では、なぜか会話が進まない。


――その理由を、私は知っている。


「…来てもおもしろくないと思うよ?あんまり反応ないし」

「いいからいいからっ!」


私の背中を片手で押しながら言う。

悠の顔をチラりと盗み見すると…


案の定、悠はニコニコ…ではなく、ニヤニヤ笑っていた。
< 73 / 185 >

この作品をシェア

pagetop