ただいま!没入恋愛ちゅ
「う~んまっつん…?だれぇ!?」

「こっちもだれ?て聞きたい」

とっさに立ち上がろうとして
狙ったわけじゃないけど、足がもつれて...

「飲みすぎ」

マッシュパーマの、重ため前髪の隙間から覗く目で見つめて彼はこう言った。

「キミ、なんで泣いてるの?」

え?わたし……泣いてる?




ーーーーー
記憶は曖昧。
気づいたら朝で、見たことない部屋、
ベッドの中で裸のわたし。
え!えぇ!?

はぁやっちゃったよ~。ヤっちゃった?
ウソウソーー?
ドラマか?映画か?
こんなシチュエーションまさか自分が起こすなんて。

しかし何か広い部屋。
見渡すと、壁に複数の写真、観葉植物…
それにキングサイズくらいあるこのベッド。
ホテルじゃないよね?ここはどこ?

そしていったい、誰の部屋なのーっ?!

~~♫~~♫♫~~

ふと、耳に届いた音と、優しい歌声
壁の隅っこのロッキンチェアで
静かに揺れながら
ギター抱えてる誰か……

その姿は、何故か泣いてるように見えて
思わず声をかけた。

「ねぇ、なんでメロディは明るいのになんか切ない?」

モモの声に、指が止まった。
マッシュの前髪をかきあげて
困った感じの八の字眉毛とアーモンドアイがあらわれた。

「えーーーっ!?シ、シ…シオン!?」

目の前の男はさらにシレッとこう言って驚かせた。

「おれたち相性悪くないよね。もっと色々試してみる?」

いやいやいやいやいや!!!

「だって!なんで!なんで!?」
「とりあえずさ、シャワー浴びて着替えてきたら?」

シャワー浴びてる間もまったく理解が追いつかず。
でもしっかりシャワー浴びてる自分に笑えてきた。

とにかく!
わたしはあの人とシちゃったのか、シてないのか?
まさか…!お酒にのまれてアッサリと?
うわ…罪悪感。


シャワーを浴びて出ると、
「珈琲でいい?パンも焼いたけど」
美味しそうに溶けてくバターと、香り立つ珈琲。そして、
「どーぞ座って」と、
笑顔でうながされたら
罪悪感はとりあえず引っこめて、食欲が勝った。

「どうして昨日あそこに…シオンが?」

パンを食べきって、珈琲を1口飲み込んで
目の前のバンドマン、シオンに質問した。

「マスターは大学時代の先輩。で、今もたまに曲作り煮詰まったら行ってて。
ほらあそこ、隠し部屋あるでしょ」

「そーなんだぁ」
って、そーなんだぁじゃなーい!!!

恋愛の曲を書かせたら天才と言われてる
【kickthrough】のボーカル兼ギタリストの
紫音ーシオンーが、
なんで同じベッドで寝てんの!?

「いや、そもそもココ俺ん家。俺のベッドね」

「あの、ちなみに…
昨夜俺とは、なにもないから安心してね。
とか言ってくれたりします?」

マッシュは悪びれもなく笑顔で言い放った。
「なにもしてない。て言いたいとこけど、
泣き顔が可愛くて…つい」

なにそれ、つい?ついってなに?
えええ、チャラすぎない?!
シオンに?いや、自分にも?
……急にイライラしてきたわ。

バッグとコートをかっさらって、玄関で急いで靴を履く。

「じゃあね、モモちゃん。また連絡する」

わたしの忘れかけたスマホを右手に持って
笑顔でいるから、速攻それを奪い取って
颯爽とはいかないけど、気づいたら駅のホームまできてた。

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