その青は還る 完結
散々迷った末に、俺は茶封筒を豆田に渡していた。ほぼ勢いだったが、それからというもの、彼と店先で会う頻度が減っていった。最初は予想通りの反応で、俺も同じような感じだった。そのうちに顔つきが変わって、曲を出したと聞いた。またある日には、演技の勉強をしてると言って笑っていた。
店に入っても相変わらずだったが、他の黒服から僅かな近況を聞き、その場を後にした。
そして俺は彼の充実した顔を思い出し、俺が降りた仕事を担いでいた人物に電話を掛けた。
「お久しぶりですね、佐伯さん」声の主は柔らかい口調で言ってきた。
「なぁ、木崎、俺、仕事始めようと思ってる」そう言ったあとで、頭の中がまっさらになっていた。
電話の向こうで、彼は煙草を吸っているようで、長い息を吐き出した。
「ちょうど退屈しているところでした。お引き受け致します」と軽く笑って、息を吸い込んだ。
「今度、直接会って話をしたい」俺は被せ気味に伝えた。
「承知致しました。時間と場所はお任せします。では、後ほど」彼は静かに言い終えて、余韻を残すように電話を切った。
予想通りではあったが、彼の処理能力が鼻について、ため息を漏らした。そこで、携帯から都合のいい店を予約して、そのままメールで彼に送り付けた。
待ち合わせの時間までと考え、近くのパチンコ屋に入った。そこは音も画面も煩くて、何が楽しいのか理解できなかった。ただ、一枚の札が数分も持たずになくなった。暇潰しにもならないと腰を上げ、その場を後にした。
そこから徒歩圏内に予約した店舗があるが、少し大通りを歩いて、タワーに登った。あれからどれくらいの月日が経ったのか、振り返りもせずに、ただ眺めていた。青い空の下に広がる町並み、錆びたレールの上を走っていく電車。五線譜のように見える電線で羽を休める鳥たち。遠くの地平線へ目を向けると、俺の名前を呼ぶ声が、脳裏を駆けていった。
そのとき、俺はどこで何をしていようとも、片隅に置いてあることに気づいた。
いつか会うかもしれない人、どこかで会えるかもしれない人。
そこで、俺はもしものことなど考えもしなかった。
タワーを降りて、予約した店舗に向かった。店に入ると、店員に個室を案内された。そして静かに襖を開けると、木崎の顔が見え、その隣に女の子がいた。
俺はすぐに察して、席に着いてから、煙草を口にし、前を見据えた。
店に入っても相変わらずだったが、他の黒服から僅かな近況を聞き、その場を後にした。
そして俺は彼の充実した顔を思い出し、俺が降りた仕事を担いでいた人物に電話を掛けた。
「お久しぶりですね、佐伯さん」声の主は柔らかい口調で言ってきた。
「なぁ、木崎、俺、仕事始めようと思ってる」そう言ったあとで、頭の中がまっさらになっていた。
電話の向こうで、彼は煙草を吸っているようで、長い息を吐き出した。
「ちょうど退屈しているところでした。お引き受け致します」と軽く笑って、息を吸い込んだ。
「今度、直接会って話をしたい」俺は被せ気味に伝えた。
「承知致しました。時間と場所はお任せします。では、後ほど」彼は静かに言い終えて、余韻を残すように電話を切った。
予想通りではあったが、彼の処理能力が鼻について、ため息を漏らした。そこで、携帯から都合のいい店を予約して、そのままメールで彼に送り付けた。
待ち合わせの時間までと考え、近くのパチンコ屋に入った。そこは音も画面も煩くて、何が楽しいのか理解できなかった。ただ、一枚の札が数分も持たずになくなった。暇潰しにもならないと腰を上げ、その場を後にした。
そこから徒歩圏内に予約した店舗があるが、少し大通りを歩いて、タワーに登った。あれからどれくらいの月日が経ったのか、振り返りもせずに、ただ眺めていた。青い空の下に広がる町並み、錆びたレールの上を走っていく電車。五線譜のように見える電線で羽を休める鳥たち。遠くの地平線へ目を向けると、俺の名前を呼ぶ声が、脳裏を駆けていった。
そのとき、俺はどこで何をしていようとも、片隅に置いてあることに気づいた。
いつか会うかもしれない人、どこかで会えるかもしれない人。
そこで、俺はもしものことなど考えもしなかった。
タワーを降りて、予約した店舗に向かった。店に入ると、店員に個室を案内された。そして静かに襖を開けると、木崎の顔が見え、その隣に女の子がいた。
俺はすぐに察して、席に着いてから、煙草を口にし、前を見据えた。