【秘密の溺愛シリーズ】 紳士な社長の秘密を知ったら、独占欲強火の愛で娶られました
それからすぐ、社長に挨拶をしてオフィスを出た。誰もいないエレベーターに乗り込み、【1】を押してから今後について考える。
高遠社長のおかげで、これまでひとりで抱えていた不安が軽くなった。それだけでも話してよかったと思える。
だからといってこれ以上社長に頼るつもりはない。社長はああ言ってくれたけれど、やはりこれは私個人の問題だ。自分で対策を考えなければならない。
どう言えば父に納得してもらえるだろう。直接話すとまた言い合いになるかもしれないから、メールにしてみよう。文章ならお互いに冷静に対話できるかもしれない。そう思いながらバッグに手を入れたら、いつもの場所にスマホがなかった。
「あっ」
オフィスに忘れてきたようだ。
エレベーターは一階に到着したが、このままオフィスに戻ろうと十階の行先ボタンを押した。
社長、まだいるかしら……。
忘れ物で戻ってくるなんて間抜けなやつだと思われたらどうしよう。あれだけ褒められた手前、そそっかしいところがバレるのは恥ずかしすぎる。社長に気付かれないようこっそりスマホだけ回収して帰らねば。