【秘密の溺愛シリーズ】 紳士な社長の秘密を知ったら、独占欲強火の愛で娶られました
 音を立てないよう気をつけながらドアを開け、オフィスの中を覗くと社長室の明かりがついている。幸いなことにガラスパーテーションは不透明になっている。これなら向こうからもこちらは見えない。

 足音を忍ばせながらさっきの席に行くと。椅子の上にスマホがあった。

「よかった……」

 ささやき声でつぶやいてからスマホを回収する。ミッションコンプリートだ。

 よし、早く帰ろう。

 物音を立てないよう気をつけながら、ゆっくりと出口へ向かおうとしたとき。

「――そんな縁談は迷惑だ」

 え?

『縁談』という言葉に耳が反応し手動きを止めた。声のする方を振り返る。社長室のドアが少し開いていた。オフィスを見回してみるが、ほかに人の気配はない。

「は? 釣り書? そんなもんだれが見るか。いちいち受けるなと言っておいただろう」

 これは……誰?

 社長の声のようにも思えるが、話し方がいつもとまったく違っている。乱雑で険がある話し方は、普段の彼とは真逆だ。
 他の人の声はしないので、きっと電話かビデオ通信中だろう。盗み聞きをしたいわけではないので、このままそっと立ち去ろうと思い足を踏み出した、そのとき。

「自分のことは自分で決める、結婚もだ! いちいちひとの人生に口を出してくるな、暇か!」
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