人は見た目に騙される

 それから2週間、佑真は約束の日になっても金を返さなかった。
 桜都から連絡することもなかった。催促もしない。
 ただ、借用書だけを保管した。
 そんなある日、夏菜が会社で泣いていた。
 頬に赤い跡があった。

 「……佑真に殴られた」

 約束が違う。
 自分がお金を貸すかわりに夏菜から手を引くと言ったはずだ。
 だがこんなことは桜都の中では想定内。
 桜都は黙って夏菜を見た。このままだと今よりもっと状況は悪くなるだろう。

 「昨日実家まで押し掛けて来て口論になったの」
 「早く別れた方がいいです」
 「……うん」

 なにより夏菜の身が危険だった。
 夏菜の口からようやく佑真との別れを決意したと聞き、桜都も安堵する。

 そしてその夜、初めて自分から電話をかけた。

 「……助けてほしい人がいます」

 電話の向こうの男は短く答えた。

 『分かった』

 それだけ言って電話は切れた。


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