人は見た目に騙される
さらに数日経ったある日、仕事を終えた桜都が会社を出ると、またしても佑真が待っていた。
「雨宮さん」
「何ですか」
「今まで連絡できなくてごめん。この前のお金もうちょっと待ってくれない?」
甘いマスクを張り付けて、可愛らしくパチンと両手を顔の前に合わせる。まるでK-POPアイドルを真似て意識したような容姿。
この男は自分の強みを良く知っている。
夏菜もこの容姿に弱いのだろう。
「構いません」
「……それとさ」
佑真は少し言いにくそうにしてから言った。
「もう三十万貸してくれない?」
桜都は黙った。
「絶対返すから」
「……私からはもう貸せません」
「そこをなんとか。明日までにまとまった金が必要なんだよ」
「私には関係ないですが」
桜都は佑真を見た。図々しいにも程がある。
「頼むよ、雨宮さん。夏菜には連絡しても繋がらないし」
「そんなにお金が必要なんですか?」
「この通り!」
「ちゃんと返すあてはあるんですか?」
「なんとかする。約束する」
あまりのしつこさにある提案をする。
「なら知っている人がいます」
「金貸してくれる奴?」
「そんなところです」
「まじ?紹介してよ」
どうせ親や身内に頼むのだろう。何となく予想がついた。
「分かりました」
桜都の冷たい瞳に気付かない。佑真は何も疑わなかった。