人は見た目に騙される

 「お帰りなさいませ、お嬢」

 夏菜の足が止まった。

 「……お嬢?」

 佑真も同時に立ち止まる。

 「……は?」

 二人が桜都を見る。男たちは全員桜都を見ている。

 「お、おい……」

 ただならぬ雰囲気に佑真が桜都を見る。

 「今……なんて呼ばれた?」
 「聞こえたでしょう」
 「お嬢って……」

 夏菜も驚きながら桜都を見る。

 「雨宮さん……?」

 桜都は答えない。佑真の顔から少しずつ血の気が引いていく。

 「……ここ、何なんだよ?」
 「お金を貸してくれる人がいる場所です」
 「そういうこと聞いてんじゃねえよ!」

 佑真の声が裏返る。嫌な直感が働く。

「お前……俺をどこに連れてきたんだよ!」

桜都は表情をかえないまま足を止める。

「騙しやがったな!」

佑真が叫ぶ。

「俺は金を借りに来ただけだぞ!」
「だから来たんです」

桜都は淡々と言った。

「あなたがお金が欲しいと言ったので、連れてきただけです」
「こんな場所だなんて聞いてねえ!」
「聞かれませんでしたから」


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