人は見た目に騙される
「……借りたいです」
正常な理性は残っていない。
秀人は一瞬だけ佑真を見た。
ここに来る殆どがこんな奴らばかりだ。もはや正常な判断など持ち合わせていないことをよく分かっている。
「そうか、お前は本当に金のことしか考えていないんだな」
佑真は何も言えなかった。
秀人は桜音を見る。桜音はその場から立ち上がり佑真を見た。
「あなたは人間を金額で測る人です」
佑真は黙って聞いている。
「私は人間を金額で測りません」
「……何言ってんだよ」
「あなたには覚悟がない。弁解の余地すらない」
桜音の声には怒りすらなかった。だからこそ佑真には怖かった。
秀人も立ち上がると桜音の前に立った。佑真との間に自分の身体を入れる。まるで桜音を完全に守るように。
「桜音に近づくな」
「……」
「俺が守ると決めた人間に手を出した時点で、お前の問題は金だけじゃない」
佑真は震えた。秀人は淡々と続けた。
「金が返せないなら――」
一泊して低い声。
「今から船に乗ってもらうという方法もある。一生戻れない漁船にな」
「……え?」
佑真の顔が青ざめる。