人は見た目に騙される

 「それも無理なら別の方法を考える」

 佑真が後ずさる。

 「べ、別の方法って……」

 秀人は静かに言った。

 「日本人の臓器は高く売れる、という話を聞いたことはないか?」
 「……っ」

 佑真の喉が鳴った。本当に何をされるのか分からない。その恐怖だけが悠真を支配した。
 夏菜も顔を強張らせる。けれど、秀人はすぐに続けた。

 「安心しろ」

 佑真が息を吐く。
 
 「今すぐどうこうするつもりはない」

 しかし――

 「お前が逃げなければな」

 その言葉で佑真の顔がまた凍った。秀人は桜音を見る。

 「お前はどうしたい?」

 桜音は答えた。

 「借りたものを返してもらいます」
 「分かった」

 頷いた秀人は悠真へ向き直る。

 「借金の整理はこちらでする」
 「……」
 「ただし、逃げることは許さない」

 桜音も口を開いた。

 「もう、あなたが利用できる人は誰もいません」

 佑真は何も言えない。

 「今日からあなたは私から借りた3万円も含め、借りたものを全部返してください」
 「……そんな……」
 「次は、あなたが追い込まれる番です」

 秀人が男たちに視線を送る。

 「連れていけ」

 佑真は抵抗しようとしたが、男たちに両側を固められる。
 そのまま奥へ連れていかれた。扉が閉まり、静寂がおとずれる。

 夏菜はしばらく何も言えなかった。そして、ようやく桜都を見る。

 「……雨宮さん」
 「はい」
 「あなた……いったい……」

 桜都は夏菜を見る。

 「今は、知らなくていいです」

 夏菜は言葉を失った。秀人は何も言わなかった。



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