人は見た目に騙される
見積書を作ると商品コードを確認する。数量を確認して仕入れ価格を確認する。
利益率に問題がないか確認してから、営業担当へ送る。次に受注入力。注文書とメールの内容を照合し、入力ミスがないか確認する。
納期に無理があれば仕入先へ連絡する。
一つずつ、正確に。
仕事は好きだった。
人間よりずっと。
「雨宮さん」
営業の男性社員が声をかけてきた。
「これ、今日中にお願いできる?」
「何時までですか?」
「できれば三時くらい」
桜都は時計を見る。
「三時は難しいです」
「え?」
「現在受注処理が五件残っています。請求書の確認もあります」
「でもこれ急ぎなんだよ」
「では、どちらを優先しますか?」
男性社員が黙る。
「……こっち」
「分かりました」
桜都は作業順を入れ替えた。
「三時までに提出します」
「助かるよ」
「ただし、先ほどの受注処理は三時以降になります」
「……分かった」
「頼むよ」と言い残し男性社員が去っていく。