人は見た目に騙される
 
 見積書を作ると商品コードを確認する。数量を確認して仕入れ価格を確認する。
 利益率に問題がないか確認してから、営業担当へ送る。次に受注入力。注文書とメールの内容を照合し、入力ミスがないか確認する。
 納期に無理があれば仕入先へ連絡する。
 一つずつ、正確に。

 仕事は好きだった。
 人間よりずっと。


 「雨宮さん」

 営業の男性社員が声をかけてきた。

 「これ、今日中にお願いできる?」
 「何時までですか?」
 「できれば三時くらい」

 桜都は時計を見る。

 「三時は難しいです」
 「え?」
 「現在受注処理が五件残っています。請求書の確認もあります」
 「でもこれ急ぎなんだよ」
 「では、どちらを優先しますか?」

 男性社員が黙る。

 「……こっち」
 「分かりました」

 桜都は作業順を入れ替えた。

 「三時までに提出します」
 「助かるよ」
 「ただし、先ほどの受注処理は三時以降になります」
 「……分かった」

 「頼むよ」と言い残し男性社員が去っていく。


< 2 / 12 >

この作品をシェア

pagetop