人は見た目に騙される

杉崎夏菜という女性


 そんな桜都に何かと話しかけてくる人物がいた。

 杉崎夏菜(すぎさきかな)。
 桜都より二歳年上の二十七歳。
 桜都にとっては仕事の先輩だった。そして変わり者。

 「雨宮さん、お昼一緒に食べない?」
 「……別にいいです」
 「じゃあ決まりね」
 「決まってませんけど」
 「細かいことは気にしない」

 夏菜(かな)は笑った。
 桜都は笑わない。
 それでも、いつの間にか二人で昼を食べることが増えていた。

 「雨宮さん今日も一緒にどう?」
 「一人で食べます」
 「知ってる」
 「なら、なぜ毎回誘うんですか」
 「私が一緒に食べたいから」
 「……」
 「行こう」
 「断る理由を聞かないんですね」
 「雨宮さんが断る理由なんて毎回同じでしょ?」
 「そうですか」
 「うん」

 夏菜は笑った。
 桜都は笑わない。
 
 夏菜は桜都とは反対に人と話すことが好きだった。困っている人を見ると放っておけない。
 誰かが落ち込んでいれば声をかける。
 桜都が仕事を抱えていれば 「雨宮さん、手伝おうか?」 と聞いてくる。

 大丈夫と断る桜都に、それでも夏菜は 「じゃあ、勝手に手伝うね」と言って隣に座る。


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