人は見た目に騙される

 「彼氏がね……」

 玉城佑真(たましろゆうま)。夏菜の彼氏だった。
 そいつは最低な男だった。
 金を借りては返さない。
 また借りようとして、断ると怒る。
 そして手を上げてくる。
 この前の痣は彼から受けたものだった。

 「別れたらいいと思います」

 桜都は淡々と言った。

 「……怖いの」
 「何が?」
 「別れたら、もっと何かされるんじゃないかって」

 ただでさえ、最近ニュースでも悲惨なストーカー事件が後をたたない。夏菜はそれが怖いと言った。
 それを聞いて桜都は少し考えた。

 「それなら、逃げる準備をした方がいいです。今からでも」

 さらりと告げた。夏菜は黙っていた。
 そんな簡単な話ではない。彼とは半同性状態だ。
 彼の機嫌を伺いつつ、細心の注意が必要だった。

 「雨宮さん今付き合ってる人は?」
 「いません」
 「じゃあ、今まで付き合っていた恋人は?」
 「いません」
 「…そう…」
 
 桜都から視線を反らし、息をつく。
 桜都に相談したのは少し失敗だったのかもしれないと夏菜は思う。



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