人は見た目に騙される
玉城佑真と言う男性
ある日の夕方だった。
会社を出た夏菜の前に、突然佑真が現れた。
「夏菜」
「……何でいるの?」
「お前が電話に出ないから」
「もう帰って」
「どうしても金が必要なんだよ」
「無理だよ」
「三万円でいいから」
「この前も貸したよね」
「返すって」
「いつ?」
「来週には必ず」
「それ、前も言ったじゃない」
佑真の声が荒くなる。
「じゃあ、どうしろっていうんだよ」
「私には関係ない」
佑真が夏菜の腕を掴んだ。
「頼むよ。この通り!」
甘い顔でそんなこと言われてももう貸さない。
会社まで来るなんてどうかしてる。そんなことを思ってると、桜都が突然間に入った。
「離してください」
佑真が桜都を見る。
「……誰?」
「同僚です」
「関係ないだろ」
「あります」
桜音は怯むことなく佑真の手を見る。
「離してください」
「うるせえな」
佑真が睨む。桜音はまったく動じなかった。
「先輩が嫌がっています」
「お前には関係ない。部外者は引っ込んでろ」
「そうですか」
桜音はスマホを取り出した。
「警察に連絡します」
佑真が手を離した。
「……チッ」
邪魔な奴が来たと思ったが、そのまま下から上まで見定める。
派手ではない。むしろ地味。
ブランド物を身につけているわけでもない普通の女。
ただ、なんだこの感じ。妙に落ち着いている。表情がピクリとも動かない。