人は見た目に騙される

 「ムカつくなお前…」
 「良く言われます」

 夏菜の同僚か何だか知らないが、何者なんだこいつ…
 佑真はその時初めて桜都を意識した。
 なんだか癪に障る。苛立ちを煽ってくる。

 「そんなにお金が欲しいなら自分で働いたらどうですか?」
 「関係ない奴は黙ってろ」
 「無能なんですか?」
 「……チッ」
 
 怖がるどころか怯まない。むしろバカにした様子に余計腹が立ってくる。

 「いい度胸だな」
 「変なことは言ってません」
 「大丈夫ですか?」

 そこへ騒ぎに気付いた別の男性社員が心配そうにやってきた。

「揉め事ですか?警察呼びましょうか?」
 
それを見た佑真はさすがに面倒になり諦めの態度を見せる。
 
 「…チッ、覚えてろよ」
 
 そしてその場を後にするが、腹の虫が収まらない。
 足元に落ちていた空き缶を思いっきり蹴り飛ばす。
 
 夏菜といい、あの女といい…
 思い通りにいかない焦りと怒り。佑真は切羽詰まっていた。
 そして暫くすると、佑真の中にある考えが思い付く。
 
 あの女も夏菜と同様、上手いこと利用できないだろうか。
 歪んだ感情が込み上げた。

 案外ああいう地味な女は貯金を貯めてるケースが多い。

 ――こいつは、使えるかもしれない。

 新しい金づる。
 夏菜から金を取れなくなっても、別の人間から取ればいい。


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