鉄仮面救急医は、再会した身代わりママを猛愛包囲で逃がさない【秘密の溺愛シリーズ】
最初から彼の結婚相手が私なんてありえなかったんだわ。せめて私にも羽野の血が少しでも流れていたら……。
初めて瑠奈をうらやましいと思った。
けれどそんなふうに考えるのは、亡くなった父と母を否定するのと同じだ。そんな浅ましい考えを持ってしまった自分が情けない。
こんな私……やっぱり彼にふさわしくないのよ。
心の中で自分に言い聞かせるように唱えたら、胸がズキンと痛んだ。
「心配するな。着てきた服は夕方には戻ってくるそうだ。その後はきちんと家に送り届ける」
「あ……はい。ありがとうございます」
黙り込んでいたせいで、気を使わせてしまったようだ。
やっぱり彼は私をどうこうしようと思うようなひどい男性ではない。そもそも私になにかしたいと思えるほどの魅力があるわけもない。
このお見合いは言わば政略結婚のようなもの。家同士の利害一致によるもので、彼が私を好きになる理由もない。
そもそも私は偽物じゃない。この場にいるのがおかしいのだから、会うのはこれで最後にしなきゃ。
「どうした? 口に合わない者でもあったのか?」
「えっ、あ……いえ。どれもおいしくてほっぺたが落ちそうだなって思っていました」
後ろ向きな気持ちを塗りかえるように、笑顔を作った。
せっかくの人気オーベルジュのお料理を、うわの空でいただくなんてもったいないわよね。
最初で最後のふたりきりの食事だ。楽しいところを余すところなく心に焼きつけたい。
今は目の前の料理と彼にだけ集中しようと思った。
初めて瑠奈をうらやましいと思った。
けれどそんなふうに考えるのは、亡くなった父と母を否定するのと同じだ。そんな浅ましい考えを持ってしまった自分が情けない。
こんな私……やっぱり彼にふさわしくないのよ。
心の中で自分に言い聞かせるように唱えたら、胸がズキンと痛んだ。
「心配するな。着てきた服は夕方には戻ってくるそうだ。その後はきちんと家に送り届ける」
「あ……はい。ありがとうございます」
黙り込んでいたせいで、気を使わせてしまったようだ。
やっぱり彼は私をどうこうしようと思うようなひどい男性ではない。そもそも私になにかしたいと思えるほどの魅力があるわけもない。
このお見合いは言わば政略結婚のようなもの。家同士の利害一致によるもので、彼が私を好きになる理由もない。
そもそも私は偽物じゃない。この場にいるのがおかしいのだから、会うのはこれで最後にしなきゃ。
「どうした? 口に合わない者でもあったのか?」
「えっ、あ……いえ。どれもおいしくてほっぺたが落ちそうだなって思っていました」
後ろ向きな気持ちを塗りかえるように、笑顔を作った。
せっかくの人気オーベルジュのお料理を、うわの空でいただくなんてもったいないわよね。
最初で最後のふたりきりの食事だ。楽しいところを余すところなく心に焼きつけたい。
今は目の前の料理と彼にだけ集中しようと思った。