鉄仮面救急医は、再会した身代わりママを猛愛包囲で逃がさない【秘密の溺愛シリーズ】
食事を終えた後、彼が「少し話をしよう」と言い、ソファーへと誘われる。三人掛けのソファーに座ると、彼はなぜか隣に座った。車に乗っているときよりも距離が近くて、心臓がドキドキとうるさい。
「君は怒らないんだな?」
「え?」
目をしばたたかせる。
「普通あんな大雨の中放っておいたら怒るだろう。仮にもデート中だ」
「デっ……!」
まさか彼からデートと言われると思わず焦ったが、話の本質はそこではない。
「放っておかれたなんて思っていません。急病人を助けるのは、人として当たり前の行為だと思います」
あの状況で見て見ぬふりをするような人だったら、今頃こんな苦しい気持ちにはなっていない。
「でも、もしまた君といるときに同じような状況に遭遇したとして、必要だと判断すれば俺は迷わず救急車に同乗する。たとえずぶ濡れの君をあの場に残してでも」
「あ……」
そうか。今日は男性が回復したのでよかったけれど、もしそうでなければ彼も救急車の中で処置を続けただろう。
「ひどいと思ってくれても構わない。俺が冷酷だと言われる由縁だろうな」
「冷酷だなんて! 私はそうは思いません」
「気を使ってくれなくていい。自分でも自覚しているから」
彼はまったく信じていない。あの話をするなら今だ。