嗚呼、愛しのアフロディーテ
ここにいるべきって、どういうことなの……?

さっきから坂本くんの言うことがさっぱりわからない。


「私、ほんとに大丈夫だよ?」


混乱はしているけれど。

ただそれだけだし、それに主な原因は坂本くんだ。


そのことがわかっていない当の本人は、ベッドに私を寝かせて、白い布団を肩までかけようとしている。


「ああ……やっぱり、柊さんには白が似合う」
「え……?」


白を基調とした保健室のベッド。

枕に散らばった私の髪の毛を整えるように、坂本くんの手が頭を撫でてくる。


「柊さん、あなたは僕の神……女神なんです」


女神……?


「僕はあの日、死ぬつもりだった。でも、柊さん──あなたが僕に生きる意味を教えてくれた」


頭を撫でていた手を止め、ベッド横の丸椅子に腰掛けた坂本くんは、うっとりと目を細めて私を見つめる。

そして、ベッドに肘をついて、祈るように手を組んだ。


「柊さん……嗚呼、僕のアフロディーテ……」


ベッドの上では、距離は取れない。

私はうっとりとした坂本くんの視線から逃げるように、顔を背けた。
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