炎、揺らめく時〜If the world〜
「朱音、おはよう。洗面台、使うか?ちょうど終わったぞ」

碧がタオルで顔を拭く。僕は首を横に振った。

「僕は今は洗面台よりシャワー使いたいかな。また変な夢見ちゃってさ。汗かいちゃったんだよね」

「……また悪夢を見たのか?心配だな」

碧が顎に手を当て、僕をジッと見つめた。碧は医師としてこの家の近くにある病院に勤務している。体調不良には敏感だし、誰よりも人の体のことを心配する。

「碧、僕は大丈夫だから。それよりそろそろ出ないと仕事じゃないの?」

「今日は学会に出席するからまだ時間に余裕があるんだ。新幹線の時間までまだあるしな」

「どこに行くの?」

「京都。土産買ってくる」

「別にいいよ。碧、遊びに行くわけじゃないし」

サッとシャワーを浴び、僕がリビングに入ると保育士をしている西崎白(にしざきはく)がテーブルに料理を並べていた。

「朱音、おはよう。ご飯できてるから食べな!」

「おはよう。ありがとう」
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