炎、揺らめく時〜If the world〜
僕は椅子に座り、目の前に並べられた料理を見つめる。ご飯、味噌汁、ソーセージと目玉焼き、レタスサラダ。塩分もたんぱく質も摂れる朝ご飯だ。でも、料理を前にした僕の頭に勝手に思いが浮かぶ。

(僕に食事は必要ないのに……)

あれ?僕は何を考えてるんだろう。人は食べ物を口にしないと、水分を摂っていても三十日から七十日で命を落とすとされている。

「朱音、どうしたの?体調でも悪い?」

会社員で同居人の北原玄(きたはらげん)が訊ねる。玄はご飯を食べ終え、シンクに皿を持って行くところだった。玄の緑の瞳が僕を心配そうに見つめる。白も近くに来た。

「朱音、食欲ない?大丈夫?」

二人に心配をかけるわけにはいかない。部屋で家を出る準備をしている碧に言うかもしれないし……。僕は笑顔を作った。

「ごめん!ちょっとボーッとしてた。いただきます」

ご飯を一口食べ、味噌汁を飲む。うん。おいしい。白の作ってくれるご飯はいつもおいしい。でも、また思ってしまうんだ。
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