姉に初恋を奪われた私は、もう黙らない ~Silent Summer~
「俺がなんできみと会ってたかって? きみがむーちゃんのフリをする理由を探るために決まってる」
「……じゃあなんで私の体――」
「ああ、あれ? きみの胸に『むーちゃんを縛り付ける傷痕』が本当にあるのか確認したんだよ」
!
私は……私は、たまらずに細い息を吐いた。
碧が私のために睦美と会っていて、私のために、睦美の嘘を暴いてくれたのだとようやく理解した。
睦美は髪を振り乱して碧を詰った。
「わ、私より、麦を選ぶっていうの? そんな子――」
「あのさ」
碧は冷たく言い放った。
「俺がきみを選ぶなんて、ない」
「……なっ」
「むーちゃん、行こう」
そうして私に促した。
「……う、うん」
私はかろうじて、返事をした。
……。
部屋を出る瞬間、振り返って睦美を見た。
睦美は下唇を噛んで肩を震わせていた。
「――睦美」
私は決意を唇に乗せた。
きっとこれが、直接呼びかける最後だと思いながら。
「もうあなたには従わない」
「……」
睦美は荒い息のまま顔を上げた。
「あなたに奪われたものは全部取り返す――アオくんも」
言いながら、碧のシャツをぎゅっと掴んだ。