姉に初恋を奪われた私は、もう黙らない ~Silent Summer~
私は、悪くない(睦美)
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……なんで私がこんな目に。
睦美はアパートへ帰ってすぐ、手に持っていたバッグを床に叩きつけた。
ワンルームの狭い玄関には、靴箱に入りきらなかった靴が溢れている。それらを避けながら、睦美は片付いていない部屋に足を向けた。
先週まで、自分が世界の中心にいる感覚があった。
それが突然反転してしまった。
透明人間のように扱われたのは生まれて初めてだった。
……私が、なにしたっていうのよ。
惨めさと悔しさが拮抗していた。
友人たちに無視されたまま授業が始まり、教室が静けさに包まれる中、睦美は必死に考えた。
けれど遡っても、こんなことをされるほどの原因が思いつかない。
それに仲間の誰かの怒りを買ったのだとしても、全員が“そっち”に付くなどありえない。――ありえないほどの理由を、誰かが作った?
頭の中が散らかったまま、授業が終わった。
と同時に、友人たちが一斉に立ち上がった。
……。
睦美は動けなかった。
ようやく顔を上げた時には、自分の周囲にだけ誰もいなかった。そう、誰も……。
「……っ」
睦美は屈辱の中、立ち上がった。
そうして荷物を持ち、逃げるように教室を出た。
*
睦美はベッドの端に座って、頭を振った。
じっとしていると自分に積もってくる、息苦しい気配を払うように。
そういえば、と睦美は痺れるような思考の中で立ち止まった。
この週末、親しい友人たちからはメールが入らなかった。