姉に初恋を奪われた私は、もう黙らない ~Silent Summer~
失った年月を思う。
睦美を問い詰めて、怒りをぶつけて、謝らせて……
そんなことでこの気持ちが晴れる?
答えはノーだ。
だから、睦美と同じ方法を取る。
傷だらけの机に両手を置いた。
小学生の頃から使い続けている勉強机。
「……」
思春期になり、睦美は早々に大人びた机と取り換えてもらっていたが、私にその権利はなかった。
部屋の中をぐるりと見渡す。
どれもこれも、睦美がこの家にやってくる前から使っていたものばかりだった。新しく買い足したものは、体の成長に合わなくなった、この椅子ぐらいしかない。
私は椅子を引き、へこんだシートに座った。スマホを取り出しSNSの鍵アカウントを開く。これまで自分の境遇や感情を吐き出し続けたそこに、今日の出来事を書きなぐっていく。
【真実を知った。
私はずっと騙されてた】
ひたすら指を動かした。
書き続けるほどに、思考は鋭敏になっていった。頭の中にあるひどい出来事だけじゃなく封印した記憶も蘇り、無駄に傷つきながら、それでも記憶を整理することを止められなかった。
――タンタンタン……
!
階段を上がってくる足音に、強制的に集中力が途切れた。
急いでスマホをポケットに戻した。