姉に初恋を奪われた私は、もう黙らない ~Silent Summer~

 時間が経ってお互いに少しは成長したのか、友達は以前のように李加を拒まなかった。
 そうして李加は知った。自分は、友達の『秘密』を簡単にばらす人間として認定されていることに。

「私は“あのこと”誰にも言ってない! たとえ『家族』だとしても絶対に言ってない! 信じて」
「けど実李ちゃんが、李加から聞いたって言ったよ」
「言ってない! どうして実李が知ってるのか分からないけど絶対私じゃない! 信じて!」
「……」
 友達は頷いてくれなかった。『信じて』と言い過ぎて、逆にその言葉が安っぽくなっているのをその表情から読み取って、言葉が続かなくなった。

 もしかして無意識に友達の秘密を実李に話してしまったのだろうか――と自分を疑い、打ち消し、必死に違和感の正体を探った。

 なんでも自分と同じことを始める実李……、
 自分の通う場所へ当然のように付いてくる実李……、
 髪型も洋服も、趣味さえも『李加と同じでいい』というのが口癖だった。時々、間違えて実李の物を使ってしまうから、自分のものだと分かるようにシールを貼ったり印を付けたりするが、気が付くとそれさえも同じになっていて区別がつかなくなった。
 
 ……なにか、おかしい
 その日から李加は、悟られないように実李の言動に集中するようになった。

 
 ある日、いつものように日記帳を開いてぎょっとした。
 インクが出過ぎてしまった左端の個所に指紋のような模様がついていた。
 誰かが、日記帳を開いたのだ。

 ……実李だ
 証拠はなかったが、友人たちと話した内容が実李から洩れているとしたらそれ以外考えられない。
 だとすれば……過去の交換日記や手紙の類も、見られていた可能性があるのではないか。


 ……怖い、
 李加は怒りよりも哀しみよりも、恐怖を感じた。

 ……誰よりも近いところにいて一番の味方で理解者の実李。なのに裏では私の一挙手一投足を監視し、そして間接的に攻撃している。……なんのために?

 分からない分、怖かった。
 
 この日から李加は、『嘘の感情』を日記に書くようになった。
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