姉に初恋を奪われた私は、もう黙らない ~Silent Summer~
「むーちゃん? どうした?」
「アオく……ん、なんで――――」
言葉が続かなかった。
こんな偶然があるだろうか。私は今、心の底から碧を求めていた。
「むーちゃんが、俺を呼んでいる気がしたんだ……、合ってた?」
「アオくん……私、私――」
私の心の叫びに反応してくれる碧に特別な絆を感じる……感じてはダメなの?
「むーちゃん?」
「……」
睦美に、碧を取られたくない。
……アオくんと、友達のままじゃ、いやだよ
言いたい。
でも……。
「……あのね、アオくん」
「うん?」
「話したいことがあるの。……全部終わったら、聞いてくれる?」
「……今は、言えない?」
今話して、碧の反応を見る勇気がない。もしも睦美を許してあげてほしいと頼まれたら復讐の手が緩んでしまう。――それは、できない。
「うん、後で……、後で話したい」
碧が睦美を庇って、碧と会うのがそれで最後になったとしても、私は復讐を遂げて前を向いて碧に告げたい。……アオくんは私の初恋だよ、と。
「……っ」
涙を拭った。
……本当は私があの日、アオくんと再会したかった
だけどそれさえも睦美に奪われてしまった。
「むーちゃん、つらかったらいつでも頼って」
「ありがとう」
碧の言葉を振り切って、自分を奮い立たせる。
「また三人で会おう! れいちゃんと三人で」
それまでにケリをつける。
「むーちゃん……」
何か言いたそうに私を呼ぶ碧に後ろ髪を引かれながら、通話を切って歩き出した。
+
家に帰ると、夕食を作っている母を相手に睦美が友達の話をしていた。
「――麦、おかえり」
「!」
母が、今にも泣きそうな顔を私に向けた。
「あ……」