恋と焦燥のロードマップ
俺がそう送ってから、次の返信が来るまで十分ほど間が空いた。向こうも平日の夜の私生活を送っているのだろう。その適度の距離感もまた、現代のアプリらしくて妙にリアルリアルだった。お風呂上がりのタイミングだろうか、不意に画面が震えて通知が届く。
『みづき:わかる、それ!私も全く同じ。二十九ってさ、何か見えない何かに追われてる気がするよね。まさかその戦場で拓也にエンカウントするとは思わなかったけど笑』
美月の言葉に、俺はベッドの上で小さく苦笑した。画面の向こうの彼女も、俺と同じように現実の焦りと戦い、そして、あの頃の記憶を心の隅に引きずったままスマホを眺めていたのだと思うと、心がじんわり温かくなる。
『拓也:デザインの仕事、東京でやってるんだろ?プロフィールに都内って書いてあったけど』
『みづき:そうなの。でも実は二年前にこっちの支社に異動になって、今は実家から通ってるんだ。だから拓也と住んでるエリアも結構近いはずだよ』
『拓也:マジで?じゃあ、結構すぐ近くにいたんだな』
また、少しだけ美月から返信が途切れた。時計の針は午後十一時を回っている。
『みづき:ね。びっくり。あ、ねぇ拓也。もしよかったら、近いうちに一回、ご飯でも行かない?久しぶりに拓也の顔見て話したいな。アプリの出会いとかじゃなくて、普通に同窓会みたいな感じで!』
「同窓会みたいな感じで」。スマホの光の中に浮かぶその一言が、美月なりの気遣いであり、現在の俺たちの立ち位置を明確に示す境界線であることは分かっていた。変な下心や過去の未練を絡ませず、純粋に懐かしい友人に会うような軽やかさ。
でも、俺の胸には確かに、あの駅のホームで別れて以来、一番激しく脈打っていた。
『拓也:もちろん。俺もみつきと話したい。来週の金曜日とか、仕事帰り空いてるか?』
『みづき:空いてる!やった。じゃあ金曜日の夜ね。お店、拓也の会社の近くか、駅前あたりでいいところ知ってる?』
『拓也:駅前の、ちょっと路地に入ったところに美味い居酒屋がある。そこにしよう。予約しておくよ』
『みづき:了解!楽しみにしてるね。あ、それと拓也。お店で会うときはさ、アプリのメッセージじゃなくて、普通のLINEにしよ。ここに拓也の名前があるの、なんか変な感じするから笑。ID送るね』
『みづき:わかる、それ!私も全く同じ。二十九ってさ、何か見えない何かに追われてる気がするよね。まさかその戦場で拓也にエンカウントするとは思わなかったけど笑』
美月の言葉に、俺はベッドの上で小さく苦笑した。画面の向こうの彼女も、俺と同じように現実の焦りと戦い、そして、あの頃の記憶を心の隅に引きずったままスマホを眺めていたのだと思うと、心がじんわり温かくなる。
『拓也:デザインの仕事、東京でやってるんだろ?プロフィールに都内って書いてあったけど』
『みづき:そうなの。でも実は二年前にこっちの支社に異動になって、今は実家から通ってるんだ。だから拓也と住んでるエリアも結構近いはずだよ』
『拓也:マジで?じゃあ、結構すぐ近くにいたんだな』
また、少しだけ美月から返信が途切れた。時計の針は午後十一時を回っている。
『みづき:ね。びっくり。あ、ねぇ拓也。もしよかったら、近いうちに一回、ご飯でも行かない?久しぶりに拓也の顔見て話したいな。アプリの出会いとかじゃなくて、普通に同窓会みたいな感じで!』
「同窓会みたいな感じで」。スマホの光の中に浮かぶその一言が、美月なりの気遣いであり、現在の俺たちの立ち位置を明確に示す境界線であることは分かっていた。変な下心や過去の未練を絡ませず、純粋に懐かしい友人に会うような軽やかさ。
でも、俺の胸には確かに、あの駅のホームで別れて以来、一番激しく脈打っていた。
『拓也:もちろん。俺もみつきと話したい。来週の金曜日とか、仕事帰り空いてるか?』
『みづき:空いてる!やった。じゃあ金曜日の夜ね。お店、拓也の会社の近くか、駅前あたりでいいところ知ってる?』
『拓也:駅前の、ちょっと路地に入ったところに美味い居酒屋がある。そこにしよう。予約しておくよ』
『みづき:了解!楽しみにしてるね。あ、それと拓也。お店で会うときはさ、アプリのメッセージじゃなくて、普通のLINEにしよ。ここに拓也の名前があるの、なんか変な感じするから笑。ID送るね』