エリート学園の最上級王子は、地味な私を離さない。
するとカイルくんが眉を寄せる。

「なに」

「ううん。やっぱり、よくわからない人だなって思って」

「は?」

「意地悪なのに、たまに優しいから」

その瞬間。
カイルくんは一度だけ目を見開いて、それから、困ったみたいに小さく笑った。

「……今さら気づいたのかよ」

低く甘いその声に、胸がまた大きく鳴る。

放課後の廊下。
西日が差しこむ静かな空間で、私だけを見つめる金色の瞳。

こんなの、意識しないほうが無理だ。

だけどまだ、このときの私は知らなかった。

この不器用な優しさが、
これからもっとずるいくらい私の心を乱していくことを。
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