エリート学園の最上級王子は、地味な私を離さない。
「カイルさまに必要以上に近づこうとするような方でなくて、よかったですの」

胸が、ずきっと痛んだ。

「私、そんな……」

「誤解しないでくださいませ。責めているわけではありませんのよ」

麗華はくすりと笑う。

「ただ、立場というものがありますでしょう?」

立場。
その一言が、冷たく胸に刺さる。

「鳳城家と九重家は、昔から深いお付き合いがありますの。周囲も、いずれはと期待しておりますし」

そこまで言って、麗華はわざとらしく言葉を切った。

「まあ、まだ正式に決まっているわけではありませんけれど」

……でも、否定はしないんだ。

私はぎゅっと鞄の持ち手を握りしめる。
苦しい。
悔しい。
でも、何も言い返せない。

だって本当に、私には何もないから。

「あなたは賢い方みたいですし、きっとわかりますわよね」

やさしい声でそう言われるほど、逃げ場がなくなる。
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