エリート学園の最上級王子は、地味な私を離さない。
「麗華」
鳳城くんの声が、すっと冷える。
「何しに来た」
「そんなに警戒なさらないでくださいませ」
麗華はくすりと笑う。
けれどその瞳は、まっすぐ私を見ていた。
「少し、結城さんとお話したいだけですの」
「必要ない」
「カイルさまには、関係のないお話かもしれませんわ」
その言い方に、空気が張りつめる。
私は思わず鳳城くんを見た。
彼は明らかに不機嫌そうだったけれど、私が少し困った顔をしたのに気づいたのか、小さく息をついた。
「……五分」
「十分ですわ」
麗華は優雅に微笑む。
鳳城くんは私に一度だけ視線を向けたあと、少し離れた噴水の近くへ移動した。
完全に見えなくなるわけではない位置。
それが逆に、彼らしいと思ってしまう。
麗華は私へ向き直る。
「お時間をいただいてしまってごめんなさいね」
「い、いえ……」
「単刀直入に申し上げますわ」
その微笑みは崩れない。
でも声は、前よりずっとまっすぐだった。
「あなた、カイルさまのことをどう思っていらっしゃるの?」
息が止まりそうになる。
「え……」
「お慕いしているのではなくて?」
顔が一気に熱くなる。
そんなこと、聞かないでほしい。
「私は……」
答えられない。
だって、まだ自分でもちゃんと認めるのがこわいから。
麗華は私の反応を見て、静かに目を細めた。
「やはりそうですのね」